名古屋市のなかやまクリニック 名古屋市のなかやまクリニック

超音波検査

超音波検査

甲状腺の病気では、まず最初に行われるのは画像検査です。甲状腺の大きさや、内部構造を見るのに適切な検査です。通常、甲状腺専門外来がある医療機関では、受診日に外来で超音波検査を行って頂けます。バセドウ病や慢性甲状腺炎(橋本病)の診断に大いに参考になりますし、甲状腺腫瘍の良性・悪性の鑑別には、超音波検査での形状はもちろん、内部の血流を見るエラストグラフィ(elastography) を行ったりして癌(がん)かどうかの見当をつけます。

検査の目的
甲状腺の大きさ
甲状腺の大きさを測定します。バセドウ病や橋本病患者様の多くは甲状腺が大きくなります。また、バセドウ病では治療とともに甲状腺が小さくなることがあります。病気を調べたり、治療経過を見るためにも甲状腺の大きさを調べることは重要です。
「しこり(腫瘍)」の有無
甲状腺やその他の頚部に腫瘍がないかどうか調べます。実際、外からでは触れなかった腫瘍でも、超音波検査でなら発見できます。腫瘍の場所、大きさ、数を調べます。悪性腫瘍でなくても定期的に観察することにより腫瘍の大きさの変化を知ることもできます。
良性腫瘍か悪性腫瘍かの鑑別
超音波検査で腫瘍の境界線や形、内部の状態から良性か悪性かがある程度、判断できます。境界が不明瞭であったり、形が不整であったり、腫瘍内部が不均一であったり、小さな石灰化を伴っていたりした場合は悪性腫瘍の可能性を考えて精密検査します。

以下の比較で、甲状腺癌の方が境界がはっきりしなくて、腫瘍の内部も均一でないことがわかります。

甲状腺良性腫瘍(濾胞腺腫)

甲状腺悪性腫瘍(乳頭癌)

血流の観察(カラードプラー法)
血流が多いか少ないかが判ります。腫瘍では良性腫瘍より悪性腫瘍の方が、血流が多くなります。また、バセドウ病 では病気の活動性が高いと甲状腺全体の血流が多くなります。

以下の図は、バセドウ病のカラードップラー法です。血流が非常に多くなっています。

バセドウ病のカラードップラー法

組織弾性イメージング法(エラストグラフィー)
病変部の硬さを超音波画像にカラーイメージとして描出します。腫瘍でも悪性な腫瘍ほど硬くなります。この検査で約90%の確率で良性か悪性か判定できます。

以下の図は甲状腺癌での組織弾性イメージの例です。硬い組織ほど青くなります。腫瘍がある部分は非常に硬く、癌(がん)の可能性が高いことがわかります。

超音波ガイド下穿刺吸引細胞診
超音波検査画像で見ながら細胞を採取し病理細胞診検査をします。大きな病変でも悪性度の強そうなところから、小さな病変部からでも細胞を採ることができます。

腫瘍の中に注射針(図中の赤色の点線)が挿入されています。

その他の頚部病変
炎症で腫れたリンパ節や、癌のリンパ節転移があるとリンパ節が多くなります。甲状腺の裏に副甲状腺といってカルシウム調節ホルモンをつくる米粒ほどの副甲状腺が4つあります。これらリンパ節や副甲状腺も病変がないかどうか調べることができます。
超音波エコー写真の例

正常な場合と代表的な病気の場合の超音波エコー写真です。

正常

バセドウ病

バセドウ病

橋本病

橋本病

甲状腺のう胞

甲状腺良性腫瘍(濾胞腺腫)

甲状腺癌(乳頭癌)